東南アジアは卵料理のバリエーションが豊かです。中華料理でおなじみのピータン、台湾のウーロン茶煮卵やカキの卵焼き、タイのナシゴレンやミーゴレンはたいてい目玉焼きがついてますし、味付きゆで卵・蒸し卵も屋台でよく売られています。極めつけはフィリピンなどで有名な半孵化卵バロットでしょうか。外観と中身のコントラストが強烈な一品ですよね。でも大概の人が食べると美味しいといいいます。店主もまだ未挑戦です。

マーガレット・アトウッドの短篇集の中の1作、「青ひげの卵」は、童話の青髭が作中に出てきます。ですが、ペロー版の童話「青髭」には一般に卵は登場しません。アトウッドはここにあえて卵を入れ込みました。つるっとしていて、生きているけど割る/割れるまで中身がうかがい知れない卵。うまいなあと思います。

有名な「侍女の物語」のようなSF要素はありませんが、いずれも読ませる作品が5篇。アトウッドは短篇もいいですよ。

「青ひげの卵」マーガレット・アトウッド/小川芳範訳