紹介文的にはSF連作短編集となるのですが、ストーリーはほぼなし、イメージの断片が書き連ねられる感じは「マルドロールの歌」などのシュルレアリスム詩に近いものがあります。もう少し読み易くはあります。

今となってはセックスと暴力でどこかに行ける気がしたあの頃が懐かしい気分になりますが、イメージの鮮烈さは十分現役です。「クラッシュ」読むよりこっちの方が好みの人もいるのでは。

巻末には松岡正剛とバラードの対談を収録。ある意味贅沢な1冊です。ご冥福をお祈りします。

「残虐行為展覧会」J・G・バラード/法水金太郎訳