別に大道芸をやっているわけではなくて、カンパを募る集金箱のかわりに、帽子を回してお金を集めるさまをさしたタイトル。19世紀末、植民地時代だったオーストラリアの作家、ヘンリー・ロースンの短篇集。オーストラリア版時代物人情噺といった趣で、クスリ・ホロリとさせられる一冊です。短篇作家として評価も高く、岩波文庫からも短篇集が出ています。

オーストラリアの作家というと、グレッグ・イーガン(順列都市・万物理論・ディアスポラなどなど)とリチャード・フラナガン(グールド魚類画帖)くらいしか読んだことがありませんでした。今回ちょっと調べてみると、ロースンと同時期に活躍したバンジョー・パターソン、ノーベル賞作家のパトリック・ホワイト、ブッカー賞2度受賞のピーター・ケアリーなど、興味をそそられる作家が何名かいたので、機会があったら(=仕入れたら)読んでみたいところ。

(ピーター・ケアリーの「ケリー・ギャングの真実の歴史」、この前まで棚にあったんですが・・・読む前に売れてしまいました)