「ノアの箱舟」や「アダムとイヴ」など、有名な聖書のエピソードを下敷きにした小説は星の数ほどありますが、エピソードそのものを21世紀に、あえて、いまさら正面から語りなおした一冊です。叙事詩風もしくは昔ばなし風に、少しだけ現代の問題も頭の端に置きつつ書き直されたエピソードは、無理やりドラマティックな展開にもならずすんなり読み進めることができます。芥川龍之介の短編を思い出しました。

「新バイブル・ストーリーズ」ロジャー・パルバース/柴田元幸訳