海外小説のマニアックなところを紹介してくれる国書刊行会の、「短編小説の快楽」シリーズの1冊。ほかにはトレヴァー、カルヴィーノ、クノー、カサーレスが出版されています。

荒っぽくカテゴライズすれば、SF、エイリアン・コンタクトもの、となるのですが、扱っているテーマはもっと普遍的なものです。大半が一人称で語られ、巧みな文章でこちらの常識を揺さぶってきます。もっと人気が出てもいい作家だと思うのですが、残念ながら現在入手できる訳書は本書と長編1冊のみのようです。

月並みな言葉ですが、今こそ読まれるべき作家のひとりに感じます。たまたま店には2冊ほど原著ペーパーバックもあるのですが、ほかの短篇集(と長編も)訳出してくれると有難い・・・

「すべての終わりの始まり」キャロル・エムシュウィラー/畔柳和代 訳

在庫にある原著は「The Mount」と「Report to the Men’s Club」の2冊。前者は人が他の知的生物に従って馬のような役割をしている世界を描いた長編、後者は短篇集で、表題作ほか多数が上の訳書に収録されています。