最近では過去の偉大な業績を成した英雄や芸術家が、必ずしも人格者ではないというのはそれほど驚きではないですが(むしろ性格破綻者のほうが常人にできないことを成し遂げると考える風潮すらあります)、この作品発表当時、ルネッサンスの偉大な芸術家を題材に、小心で苦悩と矛盾に満ちた人物として描いたことはずいぶん反響を呼んだようです。

「ベートーベンの生涯」、「トルストイの生涯」とあわせ偉人伝3部作とされる一冊。初版が昭和33年なので、漢字が旧字体なのが少々読みづらいですが、分量はそれほど長くないので「ジャン・クリストフ」よりは読み易いかと・・・