「こうしてあなたたちは時間戦争に負ける」アマル・エル=モフタール&マックス・グラッドストーン / 山田和子訳

百合で書簡形式で時間改変という、SFにしてもかなりトリッキーな一冊です。書簡小説も共作もあまり得意ではない(百合はOK)のですが、本作は楽しく読めました。

背景説明もほとんどないままどんどんと時間と場所が移動しますし、訳は今時懐かしくすら感じる女性役割語な調子だし、引用される英語圏の詩や文章は大概わからないし(巻末に注はあります)、決して読み易いとは言い難く、出だしは少し我慢が必要。ですが、作者二人掛かりで突っ込んだプロットとイメージの過剰な感じと、後半ストーリーが一気に加速して(多少強引ながら)きちんと伏線が回収されるあたり、読後には満足できる終わり方なので、是非手前で投げ出さずに最後まで読んでみて欲しいです。